お役立ち芸人 80年の時を超えて。コンビーフ缶と「おじいちゃんのいももち」が教えてくれたこと

 

放送された『お役立ち芸人・浅越ゴエ』。今回の依頼は、戦時中の記憶の中にだけ存在する「幻の味」の再現でした。

依頼主の和子さんが大切に守ってきたのは、祖父・慶次郎さんが作ってくれた「いももち」の記憶。しかし、幼かった和子さんにはその「作り方」までは分かりません。唯一の手がかりは、今のレシピにはない「天日に干す」という工程でした。

欠かせなかった「メリケン粉」の記憶

再現の鍵を握ったのは、和子さんの口からこぼれた戦時中のエピソードでした。 「アメリカ兵からもらったコンビーフの空き缶に、メリケン粉を入れてパンを焼いていた」 その言葉が、現代のレシピ(片栗粉)ではなく、当時の主流だった**「小麦粉(メリケン粉)」**こそが正解であると教えてくれました。

フードコーディネーターの山口まさみさんの手によって、鳴門金時と小麦粉が混ざり合い、お日様の光を数日間浴びて完成した「いももち」。

涙の再会、そしてお仏壇への報告

一口食べた和子さんの頬を伝った涙。 「こんな味よ。確かに餅に近い。美味しいって、こんなもんよ」 それは、食糧難の時代に孫を想い、精一杯の知恵を絞ってくれたおじいちゃんの「手のひらの温もり」を思い出した瞬間だったのではないでしょうか。

印象的だったのは、最後にお仏壇に手を合わせ、**「まだ、おじいちゃんの方が美味しかったと思うよ」と報告したシーンです。 どれだけ完璧に再現しても、和子さんの心の中にある「おじいちゃんが作ってくれた」という付加価値には敵わない。その言葉に、家族の絆の深さを感じずにはいられませんでした。

放送を振り返って

浅越ゴエさんの丁寧な取材が、単なる「食べ物の再現」を「家族の歴史の修復」へと昇華させた素晴らしい回でした。 「いただきます」の言葉の裏にある、先人たちの愛情を改めて噛み締めたい。そんな気持ちにさせてくれる、珠玉のドキュメンタリーでした。






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